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2020年度第10回電制研ゼミ開催!

11/10の卒研の時間に,今年度の第10回電制研ゼミを行いました!

第10回目は浅井君!今年度の書籍は電気学会・半導体電力変換システム調査専門委員会が編纂した「パワーエレクトロニクス回路」を元に資料を作成してくれました。

10回目の発表も前回と同様に直流変換回路について説明を行ってもらいました。今回は絶縁方式DC-DCコンバータの代表的な回路方式である「フライバックコンバータ」と「フォワードコンバータ」について説明してくれました。フライバックコンバータは200Wまでの低電力,フォワードコンバータは500Wまでの中電力領域でよく用いられます。

フライバックコンバータはOFF期間に一次側の漏れインダクタンスによって大きなサージ電圧が生じてしまうため,スナバ回路が必要になります。インダクタは電流源として動作するため,電流の経路が無くなるOFF期間においてサージ電圧を発生し,電流を強制的に流し続けようと動作します。一例としてアーク放電がありますが,このような高い電圧が発生するとMOSFETの絶対定格電圧(耐圧)を超えてしまいます。この耐圧を超えると,「アバランシェ降伏(アバランシェ・ブレークダウン)」と呼ばれる現象が発生し,電流が急激に流れ出してしまいます。OFF期間における高電圧に加えて大電流が流れてしまい,MOSFET破損する恐れがあるため,スナバ回路を必要とします。

一般的なスナバ回路として「RCDスナバ」がありますが,ダイオードとツェナーダイオードで構成される「TVS(トランジェント・ボルテージ・サプレッサ)スナバ」と呼ばれるものもあります。このツェナーダイオードの中でもTVSダイオードとして売り出しています。新電元工業がFRDとTVSダイオードをワンパッケージにまとめた「パワークランパ」として売り出してもいるようです。

それに対し,フォワードコンバータはサージ電圧はそこまで発生しないものの,1次側に磁束リセット回路,2次側にインダクタとダイオードをさらに追加する必要があります。フォワードコンバータは2次側は非絶縁方式の降圧型DC-DCコンバータと酷似していますね。低電力領域であれば低コストなフライバック,中電力領域であればサージが発生しないフォワードといった形で差別化を図るのが一般的ですね。なお,フライバックトランスは逆極性,フォワードトランスは同極性となります。フォワードコンバータを逆極性にしたら磁束が打ち消し合ってノイズが減ったりするのかな…?

直前は高専祭もあり,資料作成も大変だったかと思いますが,しっかりと発表してくれました!お疲れ様!


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