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奈良高専での研究セミナーに参加!(第5回)

8/6(日)に奈良工業高等専門学校で開催された「パワーエレクトロニクス技術に関する人材育成事業の展開/スイッチング電力変換機器の開発」の「ベーシックコース」の第5回に参加させていただきました!今回は本研究室の上田を連れてセミナー設営のお手伝いをさせていただきました。

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今回は主に半導体デバイスのスイッチング特性を中心に講義が行われました。半導体スイッチングデバイスは理想的には損失がゼロということですが,実際には導通損失(Conduction loss)やスイッチング損失(Switching Loss)が存在します(性格にはゲート周り等,もう少し存在します)。導通損失はデバイスのオン抵抗とそのデバイスを流れる電流の2乗積で決定されます。スイッチング損失は電圧/電流の立ち上がり/立ち下がり速度(スイッチング速度)の遅さによる重なった箇所の面積で決定されます。

ただし,導通損失はデバイスのオン抵抗の大きさに左右されますが,スイッチング損失は電圧と電流が重なった箇所がスイッチング周波数の約2倍(ON時とOFF時だが,それぞれスイッチング特性が異なるため)で現れてしまいます。ですので,低周波駆動の際は導通損失が,高周波駆動の際はスイッチング損失が支配的になりがちです。

今回はそのスイッチング特性を解析するために,前回と同様にダブルパルス回路で実験を行いました。

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実はスイッチング損失に関しては限りなくゼロに近づける手法があります。それは「ソフトスイッチング」と呼ばれる手法で,一般的なスイッチング動作である「ハードスイッチング」の対となる技術です(性格にはソフトスイッチングという技術が現れたので既存のスイッチング技術をハードスイッチングと呼んでいるようです)。

スイッチング損失は電圧と電流の積で決定されますが,電圧がゼロになるようにすればZVS(Zero Volt Switching),電流がゼロになるようにすればZCS(Zero Current Switching)と呼ばれます。どちらも基本的には共振回路を追加してスイッチングを行います。これにより,従来のハードスイッチングに比べて大幅にスイッチング損失を低減することが可能となりました。

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その他にも回路の小型化・高効率化・高電力密度化といった手法に関しては様々ですが,それらの複合で可能となります。私達の研究室も主にその部分をターゲットとしております。この部分を産業界と共に盛り上げていくことでより一層の経済効果や研究成果が見込めると考えております。

次回のセミナーの紹介は致しますが,別件がブッキングしており,参加することができませんでした。そちらの別件の方も学生と共に参加したものですので,後日紹介させていただきます。

今回のセミナーの詳細は下記リンクの方にございますので,そちらをご覧ください。

http://www.nara-k.ac.jp/contribution/nedo/info/