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2021年度第09回電制研ゼミ開催!
7/13の卒研の時間に,今年度の第09回電制研ゼミを行いました!
ちなみに,今回は第10回と共に2回分まとめて行いました!
今年度のゼミのテーマは「電磁気学」になります。川上は電気回路やパワーエレクトロニクスの範囲は講義担当してますが,電磁気学はかなり忘れている部分もあったため,今年度の卒研生にお願いしました。このゼミで内容を理解して,研究室webページの講義資料の追加ができればいいですね!
今年度は培風館の「電磁気学ー初めて学ぶ人のために」を元に資料を作成してくれました。電磁気学の名著に砂川重信先生の「理論電磁気学」があります。この理論電磁気学は初学者には薦められないのですが,砂川先生が初学者にむけた本が今回のゼミの書籍になります(ただしページ数は少ないのに内容はかなり濃い…)。
第9回目は岡田君!今回の発表は「ベクトル解析の基礎と電荷保存則」についてでした。岡田君は今回の発表で終了!計4回分の発表,お疲れさまでした!
ベクトル解析は応用数学の範囲でもありますが,電磁気学において非常に重要なツールでもあります。このベクトル解析における発散(div),回転(rot, curl),及び勾配(grad)を用いることで,マクスウェル方程式を積分形から微分形に書き換えることが可能です(実際にはガウスの発散定理やストークスの定理なども必要ですが…)。なお,発散はスカラー量,回転と勾配はベクトル量になります。それぞれの計算に関しては教育系youtuberのヨビノリさんの動画を引用させていただきました!この人の動画は非常に分かり易くて川上もよく参考にしています。
発散(divergence):
発散はベクトル場の中におけるある点で湧き出し(発散)か吸い込み(収束)が生じていることを表します。例えば,陽子(+の電荷)であれば電気力線が陽子から湧き出しているように見えますし,電子(-の電荷)であれば電気力線が電子に吸い込まれているように見えます。
回転(rotation):
回転はベクトル場が渦状になっているかどうかを表します。そしてその渦の回転方向は反時計回り(右ねじ方向)を正と取ります。例えば,電流は磁場を形成しますが,その磁場は電流の流れる方向に対して右ねじの向きに形成されるため,磁場は電流を起点に回転しているように見えます。ちなみに,今はrotが主流ですが,curlを定義したのはジェームズ・クラーク・マクスウェルです。
勾配(gradient):
勾配はスカラー場における,スカラー量の変化率を表します。また,ベクトルでもあるため,その向きはスカラー量を最も増大させる方向を指し示します。例えば,山の等高線はスカラー量ですが,山の形状は様々であるため,急な斜面もあればなだらかな斜面もあります。そのため,急な斜面であれば短い距離で山の高さが変わるため,ベクトルは大きいはずですし,なだらかな斜面であればベクトルは小さいはずです。そして,山の頂上が最もスカラー量が大きい点と考えると,急な斜面でもなだらかな斜面でも山のどの位置であっても,山の高さ(スカラー量)が大きくなろうとする向きは頂上を向くはずです。この向きを探し当てるのが勾配の役割です。
また,電荷保存則はエネルギー保存則などのような自然界の基本法則の一つです。ちなみに,電荷保存則に対する反例が現状で無いため,経験的事実から導き出された法則です。電荷が勝手に増えたり減ったりしても困るのですが…
高専生時代は深く理解してこなかった電磁気学を改めて理解するのは楽しいですね!
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